模範解答だけが正解じゃない
3月のとある平日、私は「接客業」の答え合わせをする機会を得た。
というのも、今のホテルで私に「プロ」とは何かを徹底的に仕込んで下さった主任(ポジション的には副店長)と再会する事が出来たのだ。
10月末に寿退社されたので、会うのは5ヶ月ぶりくらいだろうか
主任は管理職の立場だが接客も完璧で、スタッフ全員に厳しく的確な指示を与えるドSな人だった。
私も何度も何度も怒られたけど、その裏には確かな愛を感じていた。
そして主任も私を本気で可愛がってくれた。他の社員さんからも羨ましがられるくらい可愛がられた。
「主任ロス」という言葉が出来るくらい、私たちは何か大きなものを失った。
主任がここを離れるときに言われた
「1人で抱えなくていい。他の社員と分け合って、私のスピリットを守り通して欲しい。ここの品質を落とさないで欲しい」と。
主任からすれば5年かけて作り上げたこの店舗のクオリティ。気持ちはわかる。
結論から言えば、そんなものは後輩たちに伝えることは出来ず、今の責任者たちのぬるーい温度が蔓延してるのが現状。
それを踏まえて主任と社員さんと3人で1日を過ごす機会がありました
「アクティブな1日にしよう!」
とのことで、ランチしてから20キロほどサイクリング、暗くなってから軽く夜ご飯。
でも本質は、やはりホテルの現状
社員さんと一緒に色んな事を相談した
そして、主任が言い放った
『私は3回言って直らない人と仕事なんてしたくないわ』
ごもっとも...ごもっともでございます。
あ〜怖いよ〜もし主任が今ホテルにいたら全員辞めさせるレベルで改革始まっちゃうよ〜〜(ひやひや)
『私は出来るようになるまで待ってあげれない。何でできないのかわからない』
主任がいなくなってから起きた大きな事件などを話して、主任だったらどう対応したかを伺ってみた。どれも主任らしい、プロの答えだった。みんなグゥの音も出ないだろう。
でも、それは主任の「正解」なのだ。
今の私たちは彼女ほどの「プロ」ではなく「出来る」人たちの集団ではない。
私はこの5ヶ月、主任がいた頃の「クオリティ」を維持するつもりが、「そのまま」の状態を維持することに躍起になっていたのかもしれない。
「主任だったらこうしただろう」を主任の仕事を知らない新人に求めるなんてひどく滑稽な話である。
私は主任から教え込まれたことを、自分の中に取り込んで仕事に取り組んできた。だから、仕事の仕方や考え方は似ていると思う。でも、所詮二次創作、伝言ゲームのようなものだ。オリジナルを完全にコピーすることはできない。
主任が原色の赤なら、私はパッションピンク。系統は似てるけど、決して同じではない。だから、新人たちに原色の赤を求めるのは到底無理な話だったのだ。
(いまの管理職たちは濁った青だと思うけど、それには触れないでおこう)
いまの彼女たちは何色なのだろうか。
淡いオレンジくらいにはなれたのかな。
主任がいた頃のピリピリしたパリッとした雰囲気はなくなったけど、それぞれが淡い雰囲気で迎える今も、完全に否定すべきものではないのかもしれない。
私はまた、主任と働きたいけどね。
それでも「今」を褒めてくれるお客様がいるのだから、これが「時代によって変化する」って事なのだろうか。
今回の答え合わせでわかった事。
人にはそれぞれ能力差や個人差がある。
全員を同じようにする事なんて出来ないけど、同じ系統でそれぞれの色を醸し出していければいいのかもしれない。
そして私はパッションピンクだ(?)
(その後1人で飲み明かしました)